こんにちは、台湾のゆっこです。
今回は私が台湾に引っ越して間もなく体験した「台湾流ウェディングフォト」の撮影当日の様子を紹介していきます。
準備&費用編では、台湾のウェディングフォトの役割や契約内容と費用、準備について具体的に紹介していますので、宜しければ併せてお読みください。
撮影当日の朝
撮影当日は家を7:45くらいに出て、基隆の街中にあるウェディングフォト店に向かいました。1日中の撮影に備えて、美容液やら保湿液やらを塗ってくれるとのことで、当日はとにかく顔に何もつけないで来るように言われていました。必要なものは前日に店に預けてあるし、朝の化粧はないし、家を出るまでの準備は普段より楽でした。
車を停めたら、コンビニで朝食を調達してから店に向かいます。店にはヘアメイクの担当の方と、見たことがない男性がいました(この男性は撮影のアシスタントさんでした)。
思い返せば、当日まで一体何人で移動するのか何も聞いていませんでした。ざっくりとしか説明がないのも、台湾の特徴のひとつです。
さて、ウェディングフォトと言えば、とにかく新婦がメインです。ということで、まずは私から作り上げていきます。髪をホットカーラーで巻き巻き・・・これが温かくて気持ちよくて、さっそく眠くなってきます。カーラーをセットし終わったら、次はメイクです。
ヘアメイクは店のオーナーの奥さんが担当でした。30代で私よりも若いですが、経験豊富な方と聞いていたので安心していました。実際に手際が良くて丁寧で、作業中の真剣な眼差しを見ているとオーナーが惚れたのもうなずけます。
イメージは事前に伝えてあるので、当日はプロを信じて顔面を預けるスタンスでした。私の目はどちらかというとギョロギョロした二重なのに、アイプチを付けたので更に目が大きくなって、アイメイクが進むごとに顔面がどんどん濃くなっていきます。
コンビニで買ったパンをかじったりコーヒーを飲んだりしながら、変化していく顔面を見て、「おお、これは台湾流なのか?写真撮影だからこの濃さなのか?」と少々戸惑いながらも、その変化を楽しんでいました。付けまつ毛もバッサバサに付けて、目力強し!な顔面になりました。
メイクがだいたい終わったところで、白いドレスに着替えます。下から着るので、メイクをしていても、カーラーを付けっぱなしでも問題ありません。
パンツ一丁になり前日に預けておいたスーパーヌーブラセットを付けてもらって、ドレスを着せてもらって、作られた身体と顔+白いドレスという格好になります。知らない女性の前でパンツ一丁になるのは、日本だったら抵抗があると思います。相手は医者でもないですし。でもドレス選びの時もそうでしたが、相手が外国人だと意外と恥ずかしさが軽減するものなんです。これは不思議です。
着替え終わったら今度は腕や背中にファンデーションを塗って、ワントーン明るい肌を作っていきます。もはや自分ではありません。
仕上げのメイクとヘアセットをしてもらって、終わったのが大体10時頃でした。2時間近くかけてようやく完成です。
これまで傍らでひたすら待っていたマルコスの番がやってきました。少しファンデーションを塗って、眉毛を描いて、髪の毛をちゃちゃっとセットして、30分弱で終わりました。
この頃、ようやくカメラマンがやってきました。この日に初めて会います。私が日本人ということで、前日に必要になりそうな単語を勉強したと言っていました。
カメラマンと一緒に撮影ルートの確認をしていきます。準備&費用編で紹介していますが、台湾では撮影場所は自分たちで決めます。私たちの場合は家族で色々と下見をして場所を決めてありました。しかし、1ヶ所目に予定していた”ススキ野原”で、早速の撮影場所変更の提案です。良い場所を知っていると言うのです。
下見の意味なし!
まだ引っ越してひと月くらいにして、台湾のカジュアルさに気がついていきました。
2ヶ所目、3ヶ所目は予定通り、4ヶ所目の海辺はまたカメラマンの提案に任せることにしました。直前に色々変わる感じ、台湾ぽいです。
いざ、撮影
撮影スポット1(ススキ野原)
カメラマン、アシスタント、ヘアメイク、私たちの5人で1台のバンをチャーターして皆一緒の移動です。まだ中国語がさっぱりだった頃なので、中国語の会話ってワチャワチャしてるなぁと思いながら、たまにマルコスを通して飛んでくる質問に答えながら、カメラマン推薦の「ススキ野原」へ向かいます。
基隆の街中から30分ほどで、九份の山の上のススキ野原に到着しました。
そこで、朝一の試練が訪れました。道路沿いのブロックの上に乗った写真を撮ると言うのです。ブロックの向こうは崖です。思い出すだけで、ヒュゥ~っとします。高いところが苦手なので、「えーーー、無理無理!怖い!危ない!」と言ってみると、カメラマン自らブロックにのって山の向こうに向かって「アイシテルゥーー!」と叫ぶパフォーマンスをしてみせてきます。
(まさか、日本語ってこれを覚えてきたのか?!)
凄くいい写真が撮れると力説してくるので、もう吹っ切るしかない!ということでブロックにのってみますが、やはり怖いです。背中からのショットで、ドレスも長くて足元は見えないので、なるべくブロックの後ろにのって、体重も後ろにかけて、「怖いー」と叫びながらの撮影でした。
私が「怖いー」と叫ぶたびに、ヘアメイクのお姉さんが「コワクナァ~イ!」と叫ぶという、奇妙なやり取りをしてなんとか撮影が終わりました。
安全な場所での撮影に変わっても、うっすらと恐怖が残ったまま撮影が続きます。カメラマンに「シンプ、スコシミギ」とか「シンプ、シンロウミル、ワラウ」とか「シンプ、パチパチシナァ~イ」とか言われながら色々な表情やポーズをして、1ヶ所目の撮影を終えました。
(有意義な日本語もちゃんと覚えてきたのね)
ここでのショットは大自然を背景に、プロカメラマンとアシスタントが居ないと撮れないであろうアングルやシチュエーションで撮って頂きました。
撮影スポット2(金瓜石)
2ヶ所目は日本とゆかりのある場所や古い建築物が背景となる予定通りの「金瓜石」です。ススキ野原の撮影は車をたまにやり過ごす程度で他に人はいませんでしたが、ここは観光地でもあるので、人に見られながらの撮影でした。また先程とは違った意味での吹っ切りが必要です。
ここでは黒猫のジジも一緒に撮影しました。ちなみに、ここで撮影したジジとの3ショットが気に入ったので、巨大パネルにして自宅の居間に飾ってあります。(巨大パネルはウェディングフォトの契約に含まれています。決して自ら大きく焼いたわけではありません。)
ここでの撮影が終わったところでランチタイムでした。私達よりも彼らの方が周辺のレストランに詳しかったので、穴場のような場所に連れて行って貰いました。
チャーターした車の中には、筒状にパッと広がる小さなテントが積んであって、この中で着替えます。テントを開いたり畳んだりするのは無口な運転手の担当でした。
そのテントの中でドレスを脱いで私服に着替えてしばしの休憩です。お腹が膨れないように軽い昼食を済ませたら、私だけヘアメイクの変更をします。とにかく主役は新婦です。
次のドレスは赤いチャイナです。着替えたらまるで香港マフィアのボスみたいと言われました。マルコスも次の衣装に着替えて準備を整えてから3ヶ所目へ移動です。
撮影スポット3(知り合いの民宿)
3ヶ所目は、知り合いの「民宿」です。九份老街から車で5分ほど山を登った静かな場所にあります。建物も家具もとても素敵で、山の上の方にあるので景色も抜群です。九份出身のマルコス母は知り合いも多くて、この宿のオーナーもマルコス母の友人なので、今回は場所を提供して頂けました。マルコス母こそ九份のボスだという噂も。。。
ここでは、室内と屋外の両方で撮影をしました。宿にある本などの備品を、カメラマンやアシスタントがいいねぇと自由に使い始め、色々なポーズを指示されます。
「シンプ、スコシワラウー」で笑うと、「Too much!」と言われる、そして「パチパチシナァ~イ」です。やれやれ。。。
撮影はどの場所でも、1人ずつのショットと、ツーショットと両方あります。3ヶ所目ともなると、1人のショットも慣れてきました。
外での撮影は、宿で飼っている猫たちも登場したりして、臨機応変に撮影をしていきました。
撮影スポット4(海辺)
4ヶ所目はカメラマン提案の「海辺」です。九份の山を降りて、彼が知っているという海辺のスポットに向かいました。到着するとすぐに、簡易テントで青いドレスに着替えて、ヘアメイクの変更をします。
撮影が11月半ばで日が暮れるのが早い時期だったので、ここからは急いで撮影をしていきました。私がヘアメイクの変更をしている間に、マルコスは着替えて先に1人のショットから撮影に入りました。
私が撮影を始めて暫くすると日が暮れだしました。まぁまぁ楽しんでいるとは言え、一日中の慣れない撮影でクタクタです。「シンプ、ワラウ~」に応えてナイススマイルを作る元気なんてありませんでした。が、ここでのテーマは”クール”。笑顔の要求がほとんどなくて助かりました。
撮影をしているうちに、足場も見えないくらい暗くなってきました。そこで棒の先にライトが付いたアイテムが登場しました。現場では言われるままにポーズや表情を作っているだけでしたが、出来上がった写真はとても幻想的でカメラマンはただのテンションの高いオジサンじゃなかったと思わされました。
撮影終了
撮影が終わったのは6時過ぎくらいでした。お店に戻って解散したら、その足で基隆夜市にまっしぐらです。ノーメイクの女性が多い台湾人に混ざって、いつもの10倍くらい濃い顔で夜市をフラフラして、日本のテレビ番組で見た基隆夜市の名物”泡泡氷(ピーナッツのモチモチしたかき氷)”と、優しい味のうどんや小菜を食べました。
カメラマンの「シンプ、パチパチシナァ~イ」がいつまでも耳に残っていました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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