占いのおじさん「師父」と私の闘い

台湾の文化、生活

こんにちは、台湾のゆっこです。

台湾では色々な場面で「師父」というおじさんたちが登場します。

「師父」は英語で”Master”

英語にすると、とたんにスペシャリスト感が出ますね。

今日は、ある一人の「師父」と私との闘いの話をします。

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師父とは?

今まで、本ブログ内でも何度か紹介していますが、

台湾のお盆「中元節」で登場した、この人も「師父」


旧正月が明けてから、洋服にスタンプを押してもらう変わった厄払いの儀式に登場した、この人も「師父」


道教のイベントのときに、赤い服を着て現れるのは「師父」です。
彼らは、お経を唱えたり、儀式をおこなったり、お祓いをしたりします。

彼らを「イベント系師父」と呼ぶならば、「占い系師父」も存在します。

「占い系師父」の登場場面

人々は師父を訪ねて、運勢を見てもらいます。

日本でも、引っ越しの方角を見てもらったり、悩み相談をしたりすることがありますよね。

でも、信じていない人は占いとは無縁の生活を送っていると思います。

台湾では、『占い』や『運勢』がより身近といった感じです。

私の感覚だと、子供の名前や、自分の新しい名前をいわば知らないおじさんに決めてもらうって抵抗があります。

文化の違いですね。

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師父との闘い

私が闘った師父に会うことになった経緯をお話しします。

私とマルコスは、2019年5月、新婚旅行でイタリアに行きました。
(あの頃はコロナなんて思いもしない平和な世の中でした)

イタリア旅行まで数週間となったある日、私たちのイタリア旅行の安全を心配したマルコス母から、師父に安全に帰ってこられるか聞いてみようと提案がありました。

ん?どいうこと?

当然、チケットは数カ月前に手配済みです。

師父に「安全だから大丈夫」と言われたら

イタリアに行きます

師父に「危険だから行かない方がいい」と言われても

イタリアに行きます

そうです、師父に危ないと言われたとしても、せいぜい安全対策をしっかりしてイタリア旅行をするだけです。

師父に何を言われようが、イタリア旅行に行くという結果は
99.99%変わりません

つまり、そんなことを聞きに行く意味はないんです。

むしろ、イタリアの外国人を狙った詐欺被害の実例を調べたり、安全対策を練る方がよっぽど現実的。

そんなわけで、初めて師父を訪ねるプランを聞いたときの私の反応は
「それって意味ないよね?」
でした。

しかし、占いを信じる国で60年以上生きてきたマルコス母が、師父の言葉で安心をするなら、まぁ行ってもいいかと最終的には合意しました。

「師父」という人がどんな人なのか見るいい機会でもあったので、興味半分といった感じでした。

さて当日、
イタリア旅行以外にも、家族がそれぞれ抱えている悩みを相談するということで家族4人で師父を訪ねることになりました。

台北のレストランで食事を済ませてから、師父のいる場所へ向かいます。

着いたのは、古い建物の2階か3階の一室でした。

部屋の左奥の壁には祭壇、右奥の机には赤い服を着た師父がいて、人々の相談に答えていました。

他にもサポートメンバーがいて、訪れる人の案内役をしています。

まず、着いたら師父に聞きたいことをそれぞれ紙に書きます。
それから、寸志のお布施を箱におさめます。
そして、順番を待ちます。

台湾らしく、特に仕切りもないので、他人の相談はまる聞こえです。

当時は、まだ少しだけ中国語が聞き取れる程度だったので、私には何を話しているのかさっぱり分かりませんでした。

私たちの順番がきました。

私たち4人とその他の人合わせて、10人弱くらいでした。

祭壇の前で立膝をつくように指示されます。(こういうの嫌い)

そして、師父が何かを話し始めました。

隣のマルコスが、通訳をしてくれます。

師父:この中で、今夜、牛か羊かカニを食べた人はいますか?

私たちは4人とも夕飯で牛肉を食べていました。ということで、挙手。
私たち以外にも数名手を挙げていました。

師父:これらの肉は、悪い気を持っているので、祓います。口を開けてください。

そして、師父は挙手している人の口の中に、霧吹きに入った液体をシュッと入れ始めました。

牛と羊とカニが悪い肉って、理由は?
豚と鶏は大丈夫って、牛たちに失礼だわ。
それよりなにより、

その霧吹きの中身は何?

私の順番が来ました。口を一文字に閉じてみました。
師父が口を開けてと言っています。
見かねたマルコスが、口を開けてと隣でささやきました。

分かってるよ。でも嫌なんだよ。

そうしていても、いつまでも次に進まないので、仕方なく口を開けたら、

師父はすかさず、シュッ

私はすかさず、ペッ

床につばと一緒に入ってきた液体を吐き出しました。

師父、苦笑い。

汚いけど、知るか!

そのあとに、お祈りめいた儀式があったあとに、相談タイムです。

今度は、日本語ペラペラのマルコス姉が隣で通訳をしてくれました。

問題のイタリア旅行は無事に帰ってこられるとのことで、
今回の訪問の最大の目的、マルコス母への安心ギフトは達成です。

その後も、当時抱えていた旧家を売る問題、マルコス、マルコス姉の
転職についての相談などをしました。

そんな一連の話の中で、マルコスが師父に何かを聞かれて、返事に困った後に「はい」と答えている場面がありました。

マルコス姉は通訳をしてくれないので、何か気を遣われている気配を感じました。

その時は私もあえて聞いたりはしませんでした。

帰り道、
マルコスが師父との会話を説明してくれました。
その説明の中に、マルコスが返事に窮していた質問がありました。

師父:あなたの奥さんは気が強いですよね?

なんじゃそりゃ。そんなの、私の態度をみたら誰でも分かるよ。

ということで、私の初めての「占い系師父」との出会いは印象最悪なものでした。

霧吹き拒否というくだらない闘い、
妻の気が強いことを家族の前で認める夫、

う~ん、何だったのだ。

私の不快な思いを察してくれたマルコス姉は、自分が悪いわけでもないのに「なんかごめんね」と言ってくれました。

いや、こちらこそ、不愉快丸出しでごめんなさい。

この師父を訪ねるのは初めてではないらしく、前回とは儀式も変わっていて、霧吹きシュッはマルコス姉も予想外だったようです。

というわけで、私は今後「占い系師父」を訪ねることは二度とないでしょう。

『自分の人生の選択は、自分で行います』

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