台湾人が習慣的にお酒を飲まないのは「飲めない」から

台湾の文化、生活


こんにちは、台湾のゆっこです。

台湾に引っ越してから大きく変わった習慣のひとつが「飲酒習慣」です。

実はわたくし、日本にいたころは酒飲みガールでした。

飲み会を主催したり、1人で飲みに行くお気に入りのお店があったり、冷蔵庫には常に日本酒が何本もゴロゴロ、ビール片手に料理して、できあがったら日本酒と共にいただく…といった具合に、生活の中にお酒が自然と入り込んだ生活をしていました。

アルコール分解能力がある程度高い身体に生まれたおかけで、「ゆっこはお酒が飲める」ということが自然と広まりお誘いも多く、お酒の場がきっかけで仲良くなり、今でもずっと縁が続いている友人知人が沢山います。



そんな私が台湾に引っ越してみると、近所に飲み屋はないし、マルコスもマルコスの家族も飲酒習慣がなく、お酒を口にする頻度はどんどんと減っていきました。

初めの頃はマルコスが私に合わせてくれていたのか、ビール片手に河原をお散歩したり、たまに晩酌をしたり、お店でお酒を飲むこともありました。

しかし、子どもがいる今となってはお酒を飲むのは数ヵ月に一度くらいです。

とにかく台湾では飲酒習慣がある人が極端に少ないのです。

そのことに関して、数年前にも台湾と日本の違いとして「台湾に飲み屋が少ない件」について以下の記事を書いています。



上の記事では「台湾に飲み屋が少ない理由」として、

①経済的な余裕のなさ
②お酒に対するイメージの悪さ
③バイクや車通勤ゆえ飲み会が開きにくい

という3点をあげています。

しかし、ひとつ決定的な要因が抜けていました。

そもそも台湾人の身体はアルコール耐性がとても低いのです。

私たちの身体がアルコールを分解する工程には2段階あります。

①肝臓でアルコールが「アセトアルデヒド」に変化

②「アセトアルデヒド」を更に肝臓内にあるALDH2(酵素)によって酢酸に分解

「アセトアルデヒド」が二日酔いや吐き気、頭痛などの有害な症状を引き起こすので、②が素早く行える人はアルコールが強い人となります。



さて、スタンフォード大学の研究によると、台湾人はアルコール代謝に重要なALDH2(酵素)が不足している人の比率が世界で最も高いという事実が判明しました。

台湾人の約47%もの人が②を行えません。

つまり、台湾人は世界一お酒が弱いということ。

お酒を飲んでも体調が悪くなるだけという人が人口の約半数なのですから、飲み屋さんが流行るはずもありません。

近所に小さな居酒屋やスナックのひとつも見当たらないはずです。



ちなみに、台湾では18歳から飲酒ができます。

衛生福利部の2017年の調査によると、18歳以上の飲酒率(1年以内に飲酒をした人の割合)は約43%だったそうです。

対して、日本では20歳以上から飲酒可能で、2023年の20~75歳を対象にした飲酒率は約55%です。(参照元:https://kurihama.hosp.go.jp/research/report/report-alcohol-20240628.pdf)

人口の差を加味すると、飲酒する人の数に大きな差があることが分かります。



また、アルコール代謝に不可欠な酵素が不足していると、食道がんや咽頭がんなどの特定のがんのリスクも高まるそうです。

そんな危険を冒してまで飲酒をする理由はありません。

台湾は暑いし人々も活気にあふれているので、ビールをわいわいと飲んでいる姿がとても似合いますが、イメージと現実には大きな差があるものですね。

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